設計図

住宅を増築やリフォームする場合、また耐震診断や耐震改修などをお考えの場合、ある「もの」があるかどうかがとても重要になってきます。皆さん、何のことだか分かりますか?

それは、建物を新築したときの「図面」などの関係書類のことです。

ある程度築年数が経った住宅にお住まいの方、過去の図面や書類、きちんと保管していますか?

設計図

間取りを取ることはできても、「隠れた部分」は図面がないと分からない

「昔の図面がなくても、工事に入る前に調べてもらえばいいんじゃない?」

と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

増築やリフォームなどのお話を受けた場合、確かに設計に入る前に建物の現状をチェックしていきます。ただそこで確認できるのは、あくまで「目に見える部分」だけ。間取りや建物の大きさ、仕上げ材の劣化の状況などは見ることができますが、ボードでふさがれた壁の中までは見通すことができません。

床下や天井裏などは、点検口から入っていくことである程度確認することはできますが、壁の中の状況を確認するのは至難の業。どうしてもという場合は、ボードなど仕上げ材を壊して見てみるしかなくなってしまいます。ですが、設計の段階ではそこまではしないのが普通です。

壁の中には、「土壁」や「筋かい」などの耐震性を担う大事な部材が

どうして壁の中をそんなに気にするのかというと、壁の中には耐震性の元となる「土壁」や「筋かい」といった大事な要素が入っているからです。

おの設計でも100棟以上の数をこなしている耐震診断などでもそうですが、過去の図面がなく耐震要素があるかどうか確認できない場合、現状確認の段階では耐震要素は「何もない」ものとして作業を進めざるを得ない状態になります。

「筋かいはしっかり入っているだろう」と想像し安全に見るよりは、例え耐震性が低いという判断になったとしても、実際に見える部分の結果のみで判断した方が確実だからです。

増築やリフォームを行う場合も、耐震性の確認は何よりも大切な部分。古い図面があり、壁の中の状況=耐震性の有無が分かるかどうかで設計も違ってきますし、ひいては最終的な工事金額も大きく変わってきます。適切な設計でムダのない工事を行うためには、古い図面や書類が大切だというのはそういう理由からです。

建築に制限のある区域で建てた建物は、その経緯を知る上で大事な資料に

またもう1点、耐震性以外でも過去の図面や書類が大事になってくる場合があります。

それは、「市街化調整区域」など建築に制限のある区域で建てた建物に関して、新たな工事をしようとする場合です。

田園風景

過去に書いた

自分の土地でも建物を建てられない!? 「市街化調整区域」は要注意

という記事でも若干触れていますが、「市街化調整区域」では農家以外の人が建物を建てるには制限が伴うことが多く、どんな理由で建築が許可されたのかがとても大事になってきます。

その内容はかなり専門的で、かつ新築時からは長い年月が経過していることが多いため、一般の方が経緯を覚えておくというのは非常に困難。そのため昔の書類が何もない場合には、新たに許可を得るまでに何度も調査・打ち合わせが必要になり、工事に入るまでに予想以上に時間がかかってしまうようなことにもなりかねません。

そうした点からも、過去の図面・書類を取っておくことの重要性が分かってくるかと思います。

住宅に関する図面や書類は、分かる場所にきちんと保管を

いかがでしたでしょうか。

昔の書類は使う機会もそうないので

「大事だと思ってしまったまま、どこに置いてあるか分からなくなってしまって・・・・」

というのもよく分かります。

ですが、上記のように増築やリフォームを考える際にはとても貴重な資料となるもの。住宅に関する図面・書類は、分かる場所にきちんと保管しておくことが大切です。

これをご覧の皆さんも、ぜひ気をつけてくださいね。

※この記事は、2010年8月に書かれた内容をリライトしたものです。


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