おの設計ではこれまで、100棟を超える数の木造住宅耐震診断の調査を行ってきました。ですがここ数年、おの設計のある福島県桑折町を始め周辺地域では、耐震診断に申し込む人の数がどんどん減少。各自治体の補助金枠を満たさない状態にまでなっています。

地震イメージ

10数万円するものが、たった6,000円程度で受けることができる、お得な耐震診断

東日本大震災以前は、年間5~10棟の補助金枠を確保していた自治体もあったほど、木造住宅耐震診断への希望者も一定の数がありました。しかし今現在、例えば5つの補助金枠を取っていたとしても、埋まるのは1、2枠程度。追加募集をかけても反応がないような状態です。

補助金を活用すれば、本来10数万円するものがたった6,000円で受けることができ、建物の現状はもちろん現在の耐震基準にするためにどこを改修したら良いか「改修計画」まで付いてくる、現在の木造住宅耐震診断制度。かなりお得だと思うんですが・・・・希望者が伸びないその理由を考えてみました。

木造住宅耐震診断希望者が伸びないその理由は?

1.東日本大震災により、古い住宅は改修・建て替えがある程度済んでしまった

これは震災の被害を受けた地域特有のものかもしれませんが、本当に古く耐震性が低かった住宅については、震災以降改修や建て替えを済ませてしまったのではないかということです。

本来耐震診断を受けるべき古い年代の住宅が震災である程度の被害を受けてしまい、それを機に修繕したり、あるいは解体して新たな住まいを求めたり。震災以降一時期増加していた家づくりに対する需要がここのところぐっと減ってきているというのも、それを裏付ける1つのデータなのかなとも思ったりしています。

2.「東日本大震災ほど大きな地震はしばらく来ない」という意識が出てきてしまった

震災から7年が経過。その間、全国各地で大きな地震が起こってきました。その都度地震対策に対する話題はメディアに上るものの、以前ほどの盛り上がりは感じられないような状態。それはやはり、あれほどの規模の地震はそうそう来ないだろうという意識が、心のどこかに芽生えているのではないかと思います。

まして、震度6弱~強程度の揺れに対しても大多数の住宅は倒壊することなく、一部損壊程度で済んでしまった(とあえて書いてしまいます)というのも、「耐震補強などしなくても大丈夫なんだ」という考えを持たせるきっかけになってしまったのではないかと思います。

事実、震災後に話をしたお客様の中にも「あの地震で大丈夫だったんだから、もう大丈夫だない」ということを言っていた方も。「一概にそうとは言えないんですよ」と私は返しましたが、「安全だと思いたい気持ち」はやはりどこかにあるのではないかと感じています。

3.自治体の周知不足

毎年、各自治体ごとに周知活動は行われているのだと思います。ただそれが、毎年同じパターンの繰り返しになっているのではないかということです。A4モノクロ1枚に説明文を書き込んだ毎年同じ案内文書を、同じ時期に回覧板で各家庭に流す。それじゃなかなか目につかないですよね。

申し込みが減っていて、それをどうにか上向かせたいと思うのなら、今までにやっていない新たな取り組み・周知方法が必要になってくるのではないかと。それは、一向に活用する人が増えない「木造住宅耐震改修」事業の方にも、言えることではないでしょうか。

このまま減少が続けば、補助金打ち切りの自治体も

今のまま応募者の減少が続けば、補助金自体を打ち切る自治体が出てきてもおかしくありません。確保していても使われないお金は、取っておくだけムダということ。どこの自治体でも厳しい財政運営を迫られている中で、ムダ金を遊ばせておく余裕はないはずです。

補助金がなくなってしまう前に、気になっている方はぜひ自治体の方へ問い合わせてみてください。やっておくなら、今。南海トラフ地震が起こると言われている地域の方は、特に意識を強くして耐震・防災計画に取り組んでいってもらえたらなと思います。

 


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