住宅の工事をするときに、どんな内容の工事を行うか紙に示したものが「設計図」。「設計図」は新築・増築・リフォームと工事の種類に関わらず書かれるもので、この図面の通りに工事を行うことが大切です。

「そんなの当たり前のことじゃ?」

と思われるかもしれませんが、その当たり前が行われていない工事も過去にはあったりします。今回は、図面通りに工事が行われていなかったために、後から問題が発生してしまった事例の紹介です。

設計図

確認申請を取得した後の変更が、図面に反映されず・・・・

以前、一般住宅のリフォームを行ったときのこと。

お話をいただき初めてお邪魔した段階では、まず家の間取り・状況をざっくりと確認しつつ、どんなリフォームをしたいのか希望を伺うことに。幸い過去に新築した時の図面が残っていたので

「図面をお借りしていって、内容を検討してきますね」

という流れでリフォームの計画を進めていくことになりました。

そして、2回目の打ち合わせ。検討してきた内容をお話して、詳しく中身を詰めていくところだったのですが・・・・そこで大きな問題が出てきてしまったんです。

このときのお客様の希望としては、

・和室の畳をフローリングにしてバリアフリー化したいということ
・細々と分かれている部屋の壁をできるだけ取り払って広い空間にしたい

というものがありました。

和室の床のリフォームはできるとして、構造的な安全性を残しつつどれだけ壁をなくすことができるかが大きな問題かと思っていたところ。ですが、いざ昔の図面と現在の間取りを見比べてみると、違う部分がいくつか見つかったのです。

それも、図面上では耐震上重要な「筋かい」が入っているはずの壁がなくなっていたり、柱があったはずの場所が何もない空間になっていたり。

お客様に話を伺ってみると、新築した後は特に改修などはしたことがないとのこと。どうやら確認申請が許可になった後、工事をしている間に間取りが変更されてしまったようなのです。

完了検査を受けることが少なかった昔は、図面と違う工事が行われることも

今でこそ、建物ができたときには「完了検査」を受けるのが普通。住宅瑕疵担保保険のおかげで、施工中に第三者の検査も行われるようになりました。

それに伴い、重要な変更についてはきちんと変更届を出さなければならず、最終的には図面と現状がぴったり合うのが当たり前になっているのが現状です。

ですがその昔には、住宅は完了検査を受けないのが普通という時期も。そのため、確認申請さえ許可が出て工事が始まってしまえば、後はある程度変更したとしても何も問われないという状態になっていました。

良識のある建築士や大工さんは、例え変更をしたとしても各種法規を確認しつつ工事を行っていたはずですが、一部には法律を無視して勝手な変更をしてしまう人がいたのも確かです。結果、後から増築や改修をしようと思ったときに、その勝手な変更が大きな障害に

このときお邪魔した住宅がまさにその「悪い例」。勝手に変更されてしまった部分を適法な状態に戻すために、当初想定していた以上の改修費用がかかることになってしまいました。

子どもや孫の世代に「負債」を背負わせることがないよう、適法な工事を

家は「建てれば終わり」ではなく、家族の増減や生活の変化に合わせ増築やリフォームを行い、長く「住み継いで」いくもの。そこで行われる家づくりの中で、自分本位に勝手な変更をしてしまうと、後日子どもや孫の世代が迷惑を被ってしまう可能性も出てきてしまいます。

「違法建築」を行っても、何も良いことはありません。

住まいの工事をするときには、信頼のおける専門家にきちんと相談をし、自分のために、家族のために適法な家づくりを行っていくことをお勧めします。


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