建築業界誌のデジタル版「新建ハウジングDIGITAL」で、コロナ禍以降の住宅取得希望者にアンケートを取った結果が掲載されていました。
コロナ禍受けた住宅購入調査、一戸建て派が6割超 リクルート調べ
これを見ると、住宅に求める条件に如実に変化が表れてきているのが分かります。
「仕事専用スペース」「宅配ボックス」の需要が増加
記事を読み解くと、コロナ禍以降の住宅に求める条件の変化として
「仕事専用スペースがほしくなった」25%
「宅配・置き配ボックスを設置したくなった」24%
「通風に優れた住宅に住みたくなった」23%
と、今までにはなかった変化が。そして、全体の約7割の人に、住まいに求める条件の変化が起きていると結んでいます。
これらは全て、新型コロナウイルスの影響を見越しての変化だと言って間違いないでしょう。
「宅配ボックス」については、不特定多数の人と接している宅配業者の方との接触を減らしたいという意図。「通風」についてはコロナ対策として「換気」が重要だということが認知されてきた結果だと言えます。
「換気」の重要性については過去記事でまとめたことがありましたので、そちらもぜひご参照ください。
新型コロナ対策に十分な換気を! プロが教える上手な換気の方法
「Web会議」の普及による「書斎」の復権
「仕事専用スペース」については、テレワークの普及が急激に進んだことが挙げられます。最近の住宅には、いわゆる「書斎」はつくらないことが当たり前になっていましたが、それが逆にネックとなった形です。
私も以前、ブログの中でコロナ禍後の家づくりのポイントについて記事を書いたことがありました。
住宅建築が変わる!? コロナ禍終息後の家づくり 3つのポイント
この中では、家事や子どもの面倒を見なければならない点から「書斎」よりは「リビング内ワークスペース」が求められる---と書きましたが、より「書斎」の重要性が増したアンケート結果になっています。
これは、テレワークと言うよりは「Web会議」の普及がポイントになったと言えるでしょう。
自宅で仕事をするだけというなら、それこそわざわざ個室をつくらなくても良い訳ですが、「Web会議」を行うとなると話が違ってきます。リビングで「Web会議」をやっていたら、子どもが後ろで踊っていた(笑)なんて話も耳にしました。仕事に集中したいという意図もあるのかもしれませんが、要素として強いのは「Web会議」の方かと思います。
そしてさらにこれまでと違うのは、夫婦それぞれに「書斎」が必要になる可能性もあるということ。共働きでどちらも自宅勤務になった場合、そしてどちらも「Web会議」を普通にするような職種の場合、書斎は1か所では足りなくなってしまいます。
そうした場合、ご主人の書斎は2階の寝室の脇に、奥様の書斎はキッチンに隣接した家事室を広めに取って---といった工夫が必要になってきます。家族間の「新たな生活様式」を想定した家づくり・間取りの検討が必要になってくるということです。
コロナ拡大によって家づくりを中止・延期したのは約3割
そしてもう1点、興味深いデータが載せられていました。
コロナ拡大によって、住まいの「検討を中止した」人の割合は7%。「検討を休止した・いったん様子見にした」人の割合は24%だった。一方で、「影響はない」(34%)との回答が最も多く、「住まい探しの後押しになった」(16%)や、「きっかけになった」(15%)とした人もいた。(ニュース記事内より抜粋)
コロナの影響で家づくりを中止・延期したのは、合わせて約3割だということ。そして、特に影響はないと答えた人の方が多いということです。これは正直意外なところでした。
おの設計でも、確認申請目前まで来ていた仕事がコロナの影響で延期となったものがあります。他の工務店・大工さんからもそういった話をいくつか耳にしていたので、中止・延期が大多数を占めているものかと思っていましたが、業界としては逆に朗報と言えるのかなと。
ですが、これを書いている7月2日現在でも東京での感染者数が100名を超えるなど、今後第2波といったまた新たな事態に陥る可能性も否定できません。コロナ前と同じやり方では、ジリ貧になっていくばかり。
であれば、今回のアンケート結果にあったようにコロナ禍後の「変化」を敏感に感じ取り、情報を収集し、「新たな住宅様式」を考えていかなければいけないと思います。
できることからコツコツと。頑張っていきたいと思います。
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