ニュースでも報じられていますが、(株)レオパレス21が施工した共同住宅の界壁に仕様に適合しない部分があり、早急な改修が求められることになりました。界壁に加え、外壁や天井にも一部不備が見つかり、改修しなければいけない数としては、1,324棟。膨大な数です。

さらっと「界壁」と書いてしまいましたが、「界壁」ってどんなものか皆さんご存知ですか? また、どうしてこんなことが起きてしまったのでしょうか。少し考えてみたいと思います。

アパートイメージ

「界壁」とは、共同住宅の各住戸を区切る壁のこと

まず「界壁」とはどういうものかを知っておかなければいけません。

「界壁」とは、アパートやマンションといった共同住宅の各住戸を区切る壁のこと。防火性や遮音性を高めることで、同じ建物の中でもプライバシーや安全性が保たれるように配慮したものです。

ここで「住戸」という単位が出てきますが、「住戸」とは1つの家族が生活できるための住居スペースのこと。ですので、同じマンションの中でも、

Aさん宅とBさん宅の間にある間仕切り壁 ⇒「界壁」にする必要あり

Aさん宅のトイレと廊下の間にある間仕切り壁 ⇒「界壁」にする必要なし

といったことになる訳です。隣の家に面している壁を「界壁」にする必要があるということですね。

施工にミスがあったとしても、検査で見つからなかったことが問題

そして、今回の(株)レオパレス21の問題については、国土交通省からその経緯と対応について報道発表がなされています。

(株)レオパレス21が施工した共同住宅における建築基準法に基づき認められている仕様への不適合について(国土交通省)

また(株)レオパレス21からも、問題の詳細と対応について文書が出されています。

全棟調査進捗状況のご報告及び調査の過程で新たに確認された不備について((株)レオパレス21)

これらによると、問題が起こった理由として

・界壁の施工を簡略化するために開発したパネルが仕様に合っていなかった

といった内容が書かれています。新しいパネルを使う段階で、それが仕様に合っているかどうか確認していなかったというのは、正直問題外。言い訳にもならないと思います。

そしてそれ以上に問題だと思うのは、界壁等を含めた今回の問題点が、全て検査で指摘されることなく「適法」だとして建物が完成してしまっているということです。

建物の工事は、工事が設計通りに行われているかどうか「工事監理者」がチェックをした上で、第三者の検査機関が検査をしていく、二重チェックの体制になっています。この検査がOKにならなければ、建物を使用することはできません。

今回問題となっているレオパレスの共同住宅は、全て使用が開始され入居者がいる段階で発覚したもの。ということは、検査では何一つ不備を見抜けなかったということになります。これでは、第三者を入れた検査を行っている意味が全くなくなってしまいます。

この「検査」にも問題があるということを考えると、レオパレスに限った話ではなくなってきます。その検査機関特有の問題なのか、それとも・・・・。原因を徹底究明していかなければ、以前起きた「耐震偽装問題」以上の大きな問題に発展していくでしょう。

建築に携わる者の1人として、今後も状況を注視していきたいと思います。


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