今回紹介するのは「アルスラーン戦記」16巻。長編小説の完結巻です。

本イメージ

「とうとう終わった・・・・。」
完結を待ち望んでいたファンが共通して抱いた感想が、これだと思います。

初めて「アルスラーン戦記」に出会ったのは、約30年も前の中学生の頃。下校時に店に寄るのはダメと言われつつも、近くにあった本屋さんに立ち寄り、その頃から好きだった本をいろいろと眺めていたものでした。

そんなときに出会ったのがこの「アルスラーン戦記」。当時で4巻くらいが出ていた頃だったかと思います。角川文庫の表紙になっていた天野喜孝先生の幻想的な絵に惹かれ中身を読んでみると、緻密な世界観と魅力的なキャラクターにぐっと心を掴まれ、そこから「銀河英雄伝説」を始めとした田中芳樹ワールドへハマっていったのでした。

あれから約30年。一時長い中断に入った頃には、もう完結はムリなんだろうなと諦めの境地に入ったこともありました。ですが、こうして完結を迎えてみると、「良かった」という想いともうこれで終わりなんだという寂しさがないまぜになった、どうにも複雑な感じがしています。

中世ペルシアに良く似た異世界を舞台にした、架空歴史英雄譚。国を追われ何も持たず逆境に置かれた王太子アルスラーンが、仲間を集め国を取り戻し、更なる異界の敵に立ち向かっていく物語。

1~7巻の第一部、国を取り戻すまでの物語は間違いなく傑作です。国同士の争いが、軍事・政策両面から独自の視点で描かれ、魅力的なキャラクターたちの活躍がそれに華を添える。最近は荒川弘先生によるマンガの連載も行われていますので、そちらからファンになった方も多いのではないかと思います。

ですが、第2部。国を取り戻し王となったアルスラーンが、国の仇敵である蛇王・ザッハーク率いる魔軍との戦いに入ってから、どうにも面白さが半減してしまったんですよね。

それまであった、人対人の知略を尽くしたやり取りがほとんどなく、ファンタジーな世界感とリアルな歴史ものが中途半端な形で混ざりあった何とも消化不良のストーリーに。作者も方向性を見失ったのか、この第2部で長い中断期間を挟みます。

結局、続巻後も第1部のような魅力を取り戻すことはなくこの最終巻を迎えた訳ですが、著者の過去作で付けられた「皆殺しの田中」の渾名の通り、主要キャラクターが次々と死を迎えていく凄惨な物語となっています。

巷で酷評が出ているのが特にこの部分。キャラクターたちの死についてだと思います。1巻から出続けてきた主役級のキャラですら、最後の描写が3行程度で終わってしまうものも。思い入れのあるファンからするとたまったもんじゃない!というのが正直なところかと思います。

自分としても、蛇王や魔族の出自なんてどうだっていいから、もっと語るべきことがあるだろうと思ったのも確かです。ただ不満は多々抱きつつも、ここまでくると曲がりなりにもキャラたちの人生に何とかケリをつけてくれただけでも良かったのかなという、何とも言えない感慨を抱いてしまったのでした。

読み始めた中学生の頃と趣味・趣向も変わり、田中先生の作品はとんと手に取らなくなってしまった自分。これでファンタジーの世界ともまたしばらくお別れかと思いますが、「アルスラーン戦記」は若き日の転換点として決して忘れることのできない作品になった気がします。

個人評価:★★★(※最高で★5つ)


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