昔の、特に昭和40~50年代頃の古い図面や書類は、あまり当てにしない方がいいです。経験上、結構現状とは違うものが多い印象が。中古住宅を購入するとき、仕事で古い物件に関わるときなどは、注意が必要です。

というのも、先日住宅の増築を考えているお宅に現地確認・測量に行ってきた経緯から。

田舎の景色

上の写真は、お邪魔した現場から見た眺め。のどかです。
このお宅、打ち合わせの段階では、昔住宅を建てたときの図面があるということで、その図面を事前に確認し現地に持って行ったわけですが・・・・現地に着いて見てみたら、結構違う部分があるんですよね。

住宅を建ててから数十年経っているので、古くなったところを直したりリフォームしたりと手を入れながら住んでいるというなら分かるんです。長い月日の中で、家族構成や生活スタイルが変わることだってよくあることですから。

でもそういったあって当たり前の変化ではなく、当時から図面とはちょっと違ってたんじゃ?と首をひねりたくなるような状況もときどきあるんです。

以前、農業用の物置を新しくつくりたいと依頼を受けて見に行ったお宅。昔の図面があり、土地の高さが全て平らに書かれてあったので「難しい場所じゃなくて良かったよかった」と思いながら現地に行ったところ、住宅の裏に数メートルもの高さのがけがあった、なんてことも。

検査済証

建物が完成したときに受ける「完了検査」。今はこれを必ず受けて、法律に適合した建物がきちんとできましたよ、ということを示す「検査済証」を受け取ることが当たり前になりました。

でもこれって、意外と最近のことなんですよね。一般住宅や物置といった小さな建物だと、工事を始める前に提出する「確認申請」は出していても、最後の検査は受けていないというのが昔は普通。ということは、現地に実物を検査に来る人がいない=図面さえごまかして許可を取れば、後はどうにでもなると考えた業者も一部いたようなんです。おかげで上に書いたような「図面にないがけ地」が出てくるような状態に。

建てた当時はそれでも良かったんでしょうが、法律が整備され検査が厳しくなった現在は、同じように工事の許可をもらおうと思っても、もらえる状態にはなりません。逆に、今使っている建物で法律に不適合な部分は、お金をかけて改修して、現在の法律に合うようにしなければいけなくなります。子どもや孫の世代に「負債」を押し付けてしまっているような状態なんです。

いつの時代でも、法律を守って建物を建てることは必要なことです。そうして法律を守って建物を建てたということは、後になってしっかり生きてきます。法律を無視して目先の利益だけを求めるのではなく、家族や子孫に迷惑をかけない住まいづくりを。今までの経験から、皆さんに伝えたいお話でした。


おの設計イラスト

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