本日のニュースに、規制緩和をして空き家を福祉施設に転用する後押しを国が行っていくという方針が発表になっていました。
良い面もあり、不安な面もあり。いうことで、少し考えてみたいと思います。
全国的に増えつつある空き家の利活用を促進するため、建築基準法の用途変更の基準を緩和し、福祉施設といったニーズが高い用途に転用しやすくしましょう---というのが、今回の国の方針です。
具体的には、これまで延床面積が100平方メートルを超える建物に必要とされてきた建物の用途変更の確認申請が、200平方メートルを超える建物からで大丈夫ですよ、というふうに緩和されます。ということは、よっぽど大きな規模でない限り、一般住宅を他の用途に変更するのに申請は必要なくなるということです。
例えば、空き家を地域のお年寄りが集うコミュニティサロンにしたり、グループホームやシェアハウスへの転用も容易になりそうです。
既存建物を改修して使う上で、この延床面積100平方メートルという壁は、実は意外に高いものでした。100平方メートルを超える建物を用途変更しようと思うと、現在の建築基準法の基準が適用になるため、その改修に多額の費用が掛かり、結局計画自体を断念せざるをえないようなことが多々あったのが事実です。
この基準が200平方メートルを超えるものに緩和されることで、既存建物の利活用の機運は高まってくるのではないかと思われます。
しかし一方で、不安な面も。用途変更の申請がいらなくなるということで、耐震性能や防火性能の低さを全く考慮せず、やりたい放題の建物が増えてしまうのではないかという点です。
同じく本日報じられたニュースで、札幌市の自立支援関連施設の火災死亡事故がありました。火災が起きた建物がそうだという訳ではありませんが、用途変更が緩和され現在の法律の基準を考慮していない不適格な建物が増えることで、今回の火事のような事態があちこちで起こるようになってしまうのではないか---そうした懸念を持っている人も多いようです。
今回の緩和措置が本決定になったとしても、実は「申請がいらない建物が増える」というだけ。建物を違う用途で使うようになるのであれば、人命や財産を守る建物本来の役割がきちんと果たされるよう、弱い部分は強く、足りない部分は補充をするような、適切な改修を行うのは本来当たり前のことのはずです。
規制緩和により法に問われない建物が増える中で、設計者と施工者の良心が大きく問われることになりそうです。
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