先日、空き家を地域の集会場として使えないだろうかという相談を受けました。

その地域にも元々集会場はありましたが、福島県沖地震で大きな被害を受け止む無く解体に。その後は別の地区にある施設を借りて会合をしていたものの、足の弱い高齢の方が出向くにはハードルが高く、やはり地元でどうにかできないかと考えた末でのご相談でした。

今や、空き家は増える一方。それを減らすために上手く利活用ができないかと、様々な検討が行われています。その中で、住宅だった建物を異なる用途で使ってみたいという人も増加。古民家カフェなどはその一例ですね。そうした建物の用途が従前と変わることを、建築の法律的には「用途変更」と言います。

空き家

建築基準法の緩和により、用途変更が以前より簡単に

「用途変更」は、建物の規模や新たな用途によって、新築するのと同様の「確認申請」という手続きが必要になることも。規模的には、200㎡を超える建物の用途変更が申請の対象となるため、それより小さい建物は用途変更による利活用がしやすいというメリットがあります。

この「200㎡」という数字は、以前は半分の規模の「100㎡」となっていました。全国的に空き家が増えてきたことからその利活用促進を図るため、2018年に建築基準法が緩和されたものです。空き家となっている一般的な木造住宅は、200㎡より小さな建物がほとんど。確認申請が不要になることで、用途変更がしやすくなったと言えます。

ただし、申請が不要だからといって何をしても良いという訳ではなく、最低限防火・避難面の法律は遵守が求められます。まして集会場のような不特定多数の人が使用する建物になるのであれば、法的には不要でも耐震性の確保などにも配慮する必要が出てくるでしょう。

今回相談を受けた建物は申請不要の規模でしたが、現在の状態が悪く改修規模・費用が大きくなることから「用途変更はお勧めしない」というお答えをさせて頂きました。ただし、空き家を用途変更して利活用するというのは有効な手段ですので、何かあればぜひお気軽にご相談ください。