まちづくりやまちおこしと言うと、町に長年住んでいる人が「どうにかしなくちゃ!」と問題意識を持って積極的に取り組んでいるというイメージがあるかと思います。
かくいう私も、建築士という仕事柄まちづくりに関わることもありますし、商工会青年部に所属しまちおこしの事業やイベントなどにも携わった経緯があります。
ですがそんな今感じるのは、まちづくりやまちおこしは、町の「中」にいる人だけではなく「外」にいる人の意見・考え方も大事にしなくちゃいけないということです。
大学生が町を定期的に訪問し、独自の条例案を発表
こんな記事を書こうと思ったきっかけが、福島大学の中川伸二教授のゼミに所属する4年生14人が、町の特色を反映した独自の条例案を発表したというニュースを見たこと。
地方自治を実地で学ぶことを目的に、桑折町に来てさまざまなものを見て、触れて、話をして・・・・と2年間という長い時間をかけて取り組んできた結果が、今回発表された「条例案」というものに凝縮されています。
私自身、ゼミ生たちが町中を移動している姿や公開ゼミを行っている情報を聞いてはいたのですが、タイミングが合わず接点をつくることができなかったため残念に思っていました。ですがこうして最終的な形ができあがったと知り、本当良かったなと思うところです。
記事の内容を引用すると
第三条では若い世代が関心を持ち理解されるよう、議会の役割を「町の良さを町内外から募り、SNS(会員制交流サイト)や各種広報誌などを通して積極的にシェアすることに努める」と定めた。発表した佐藤亮太さん(22)は「学生ならではの目線で、条例の堅苦しいイメージを取り払いたかった」と狙いを語った。
と若い学生ならではの目線でつくられた内容になっており、町や議会といった行政側と一般町民の側の大きな垣根を取り払うような柔軟な考えが示されていることに好感を持ちました。
こうして外部からの視点で町を見て、ひとつの意見を挙げてもらえる。これってスゴく大事なことだと改めて思ったんですよね。
長年 町にいることで「視点」や「考え」が固定化されてしまう懸念も
もう上の見出しが全てを語ってくれていますが、長年地元の町にいることでどうしても「視点」が偏ったものになってしまいます。
同じ町にずっと暮らすことで町に対する理解は深まり、良い部分も悪い部分も自分の中に大きな財産として蓄えられてきています。ですが一方、それが「当たり前」のものになってしまう懸念もあるんですよね。
良い例が、町の歴史を探るツアーガイドで他地域の方を案内していたときのことです。
シンボリックな建物や名所・旧跡を見てもらい「良いところですね」と感想をもらうことは、ある意味「想定内」のことと言えます。ですが、自分たちが日々何気なく通っているちょっとした裏道を通っていたときに「ここ、雰囲気いいですよね」と言ってもらえる。
こちらとしては「もっといいところをこれから紹介するんだよ」と考えてしまうんですが、その何気ない裏道の雰囲気も、他所から来たその人にとっては「雰囲気のいいお気に入りの場所」になり得るんですよね。
「当たり前」の日常が、他所の人からすれば「当たり前」ではない。
視点が変わることで新たな魅力に気づくことができた、ひとつの良い例かと思います。
年を取るにつれて失われる、柔軟的な「考え方」
そしてもう1つ、年を取ることで柔軟的な「考え方」はどんどん失われていくだろうと感じることです。
私も今年で45歳になります。商工会青年部に所属してまちおこしのイベントなどを多数企画・運営してきましたが、この春に卒業を迎える年齢になりました。そうなると、一緒に活動する部員もみな年下に。年上の自分がいることで、意見が出しづらい部分もあるんじゃないかとも思うんですね。
過去の活動でさまざまな経験を積みそれが自分の糧になっていると感じる一方で、「自分の考えがベストだ」「そうじゃなくてこうした方がいいんじゃないか」と経験に基づいた考えが固着し、新しいアイディアを否定しかねないところがある。そんな懸念を感じる訳です。
この年になり団体での自分の立場が変わり初めて感じたことではありましたが
「あの頃はよかった」「あのときはこうだったんだ」
と、自分の頃が一番良かったんだと「昔自慢」を話すようになったらもうダメですよね。
「外」からの意見を否定せず、一度受け入れるだけの「幅」を持つこと
総じて考えると、
若い人の意見・他所の人の考えを否定的に捉えるのではなく、
「こんな考え方もあるんだ」
と肯定的に一度受け入れることができないと、今後の自分の成長---ひいては事業や取り組みの成長・発展にはつながっていかないのではないかと感じています。
「外」からの意見を否定せず、一度受け入れるだけの「幅」を持つこと
これからの自分に、そして同じ世代の皆さんにとって必要なスキルの1つになるのではないでしょうか。皆さんはどう感じましたか?
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