皆さんはこの冬、インフルエンザに罹ったり風邪を引いたりしませんでしたか?
わが家では娘がインフルエンザになり、その後私にもうつってしまったことから仕事が遅れ気味になってしまいました。手洗い・うがいなどいろいろ対策はしていたつもりだったんですが、ダメなときはダメですね・・・・。
さて、インフルエンザや風邪対策には手洗い・うがいの他に、部屋の「換気」も大事になってきます。特に冬場は暖房の暖かい空気を逃がしたくないため、窓を開けることも少なくなりがちに。
ですが、最近の住宅は法律で換気が義務付けられ、わざわざ窓を開けなくても自然と新しい空気が入ってくるようになっています。このこと、ご存じでしたか?
今回は、インフル・風邪対策にもなる住まいの「換気」についてまとめてみました。
シックハウス対策からスタートした、住まいの「計画換気」
換気扇を使って計画的に換気をすることから「計画換気」と呼ばれる住宅の換気ですが、もともとは「シックハウス症候群」対策からスタートしたものです。
住宅の高気密化が進むのに連れて、建材や接着剤などから発生する化学物質によって室内空気が汚染され、それにより頭痛や吐き気、鼻水といった健康被害を生じる人が出てきました。このような症状を「シックハウス症候群」と言います。
この「シックハウス症候群」は受ける影響の個人差が大きく、同じ状況で被害が大きい人もいれば全く何も感じない人もいて、その点では花粉症のイメージに近いものがあるかもしれません。
ただ花粉症と違うのは、本来最も落ち着くことができるはずの「わが家」でさえ健康被害を受ける場所になりかねないということ。新築したばかりの家に希望を抱いて引っ越しをしてみたら、頭痛がして目のチカチカが止まらない・・・・なんてことになったら、どこにも安らげる場所はなくなってしまいます。
そうしたことがないように、
住宅の居室(リビングや寝室などの人が長時間留まる部屋)は、1日24時間換気扇を使って計画的に換気をしなければならない
と建築基準法で定められたのです。
「計画換気」とは、一定時間で部屋の空気を新鮮なものに入れ替えること
では「計画換気」をするには、どんな換気扇を設置すればいいのでしょうか?
具体的には、建築基準法で「1時間に0.5回」の換気回数が求められています。これは、その部屋の空気が1時間で半分入れ替わるということ。つまり、2時間で部屋の空気が全て入れ替わる程度の換気を行うことになります。
計算式でいうと
換気扇の風量=部屋面積×天井高さ×0.5
部屋の大きさをしっかり計算した上で、それに見合うパワーを持った換気扇を設置。一定の時間で部屋の空気が新鮮になるような仕組みになっています。
3種類ある換気方法。それぞれにメリット・デメリットが
そして、設置する換気扇の換気方法には3つの種類があります。
「第一種換気」「第二種換気」「第三種換気」の3つです。それぞれメリット・デメリットがあるので、設置の際にはしっかり検討した上で取り付けるようにしなければいけません。
【第一種換気】
給気(空気を室内に取り入れること)・排気(室内の空気を外に出すこと)どちらも機械(換気扇)で行います。
・メリット:室内に空気を取り入れる際、温度の変化を極力少なくできる
・デメリット:各部屋に換気扇を付けることになるため、費用が割高に
【第二種換気】
給気を換気扇で、排気は機械ではない「排気口」を使用するやり方。住宅ではほとんど使われていません。
【第三種換気】
給気は機械ではない「給気口」で、排気は換気扇で行うやり方。給気口を各部屋に設置し、換気扇はトイレなどのものを兼用するのが一般的。
・メリット:第一種換気に比べ、換気扇が少なく安価でできる
・デメリット:給気口から外の暑い・寒い空気が直接入ってくるため、人によっては不快に感じることも
この換気扇の設置については、建て主さんの側から「こうしてほしい」という要望が上がることは少なく、設計者の考え方によって大きく左右される部分。温度環境についてあまり気にしてない設計者であれば、安く済む【第三種換気】を選択するのが一般的かと思います。
ですが上で述べたように、給気口というのは外の空気が直接部屋の中に入ってくるものなので、例えば冬なら外気温0℃近い空気が暖かい室内に流れ込んでくることに。それが寝室のベッドの傍にあったりしたら、ヒヤッとした空気の流れを感じて不快に思うことも出てくるかもしれません。
ですのでおの設計としては、基本的に【第一種換気】の方をオススメしています。こちらの場合は外の空気を取り入れる際に冷たい空気はなるべく温めて、温かい空気がなるべく冷ましてくれる「熱交換」という処置をしてくれます。【第三種換気】のように不快さを感じることは、より少なくなります。
このようにそれぞれにメリット・デメリットがあるので、コストの面も考えつつ換気方法を選定、そして効果的な換気設計を行うことが重要になってきます。気になる場合は、ぜひ1度設計者や施工会社に聞いてみると良いでしょう。
2003年以前に建てられた住宅では「計画換気」は行われていない!
インフル・風邪対策から、住宅の「換気」についてまとめてみました。新しい住宅は、基本的に「計画換気」が行われているということが分かったかと思います。
ここで注意が必要なのは、この「計画換気」が法律で規定されたのが2003年だということ。それ以前に建てられた住宅ではこの「計画換気」は行われていませんので、自主的に窓を開けて新鮮な空気を室内に取り込むことが大事になります。
この冬場は特に窓なんて開けたくもないですが(笑)、「計画換気」をしている・していないに関わらず、1日1度くらいは窓を開けて新鮮な空気を取り入れ、インフルエンザや風邪などにならないように配慮しておいた方が良さそうですね。
新型コロナウイルスも、バスや電車といった換気が不十分な場所だと感染しやすくなるとのこと。健康で快適な暮らしができるよう、換気には十分気をつけていきましょう!
※この記事は、2010年12月に書かれた内容をリライトしたものです。
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