以前から全国各地で行われている、古い住宅の耐震診断と改修事業。その改修に使える補助金の額が、金沢市で大幅UPされたというニュース記事がありました。

ちなみに、福島県内の耐震改修の補助額は最大100万円なので、倍の額がもらえるということ。これはかなりお得感がありますよね。

でも、ただ単に金額を増やしただけでは、住宅の耐震改修はそう数が増えることはないと思うんです。

工事中の住宅

福島県の県北地域では、住宅耐震診断の希望者が大幅に減少

おの設計でも、地元の福島県桑折町を中心に100件以上の住宅の耐震診断を行ってきました。ですが、ここ数年は希望者自体が少なくなっているのが実情。市町村で耐震診断・改修のための補助金の枠を確保していても、使われないまま余ってしまう状態が続いています。

使われない予算は「必要なし」ということで、今後補助金の予算がまるまる削られてしまうことも予想される事態。そうなると、耐震診断や改修を行う人はますます少なくなっていくことになるでしょう。

補助金を使えば、たった6,000円程度で耐震診断と改修プランをつくってもらえるというお得な制度。なのに、どうして活用が減ってしまっているのでしょうか?

耐震改修は、分かりやすい「生活向上」につながらない

・東日本大震災が起き、壊れたところを直したばかり
・「震災ほど大きな地震はそうは来ないから、大金をかけてまで改修はしなくても大丈夫」という、根拠のない安心感が
・改修したくても、改修予算に対して補助金の額が少ない

主だった理由はこんなところかなと思いますが、中でも一番ネックになるのは

・耐震改修をしても、分かりやすい「生活向上」につながらない

という点だと、私は感じています。

同じ住宅の改修・リフォームをするにしても、システムキッチンを新しくしたり、昔ながらのタイル貼りのお風呂を最新式のユニットバスに入れ替えたりすれば、見た目も使いやすさもこれ以上ないほど分かりやすい良い結果が。「大金をかけて良かった」という実感が湧いてくると思います。

ですが耐震改修に関しては、同じような金額をかけたとしても「住みやすさ」に関してはほぼ変わりません。それどころか、壁が足りないからと全面窓だった部分を一部塞いで壁にしてしまったり、直す気もなかったような部分を壊して新しい部材を取り付ける必要があったりと、不満を感じることすらあるものに。

安心・安全面は明らかに良くなっているはずなんですが、それを実感できるのは「大地震が起きたとき」という、メリットが何とも分かりづらいのが耐震改修だったりします。

だとすると、いくら補助金が一部出るとはいえ、何百万ものお金をかけて耐震改修をしようという人は、ほとんどいなくなってしまいますよね。補助金の額が多少増えたからといって、その流れは変わらないと思います。

耐震改修を少しでも増やすには? 一般のリフォームと併せた提案を

システムキッチンイメージ

では、どうすれば耐震改修をやる人が増えるのか?

私も明確な答えが出ている訳ではないのですが、耐震改修をメインとするのではなく、キッチンのリフォームや和室を洋室に変えるといった一般的な改修をするときに、耐震改修もセットで実施してもらうというのがベターなのではないかと考えています。

今回の記事内容で言えば、耐震改修に対する補助金が大幅増となっていますが、これは本当に耐震改修の工事をした部分だけが対象。例えば一緒にトイレを直したとしても、その部分は補助金の対象からは除かれてしまいます。

それを、一般的なリフォームにも使えるような形にしてしまう。

200万円の補助金が出ますが、そのうち100万円分は耐震改修に限らず好きに使ってもらっていいですよ、という仕組みにしてみてはどうかと思うんです。これなら、貰える金額としては変わらなくとも「じゃキッチンをリフォームして、そのついでに耐震改修もちょっと・・・・」といった気持ちが芽生えてくるのではないかと。

「耐震改修をぜひやってほしい」という専門家の目線に立ってしまうと、どうしても押し付け感が出てきてしまいます。ですがそうではなく、一般ユーザーの目線に立って、メリットを感じてもらえるような、デメリットを少しでも減らすようなやり方を考える必要がありそうです。

おの設計では、今後も引き続き木造住宅の耐震診断・耐震改修の事業を行っていきます。少しでも気になる方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。

住宅耐震診断・耐震改修のススメ(おの設計 公式サイト内)

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