皆さん「自分が住んでいる土地なのに、自由に建物が建てられない」なんてこと、あると思いますか? 実は、それがあり得るんです。

「市街化調整区域」という場所が、それに当たります。

名前の通り、市街化を抑制すべき=なるべく建物を建てないようにする区域を指すのが「市街化調整区域」。現状田畑が多く建物が少ない場所は、この「市街化調整区域」である可能性が高いので注意が必要です。

田園風景

一般の人は基本的に建物は建てられない「市街化調整区域」

賃貸・持ち家に関わらず、皆さんがお住まいの場所には何らかの「地域設定」がされていること、ご存知ですか? 中でも、良好な田園の保全を目的とする「市街化調整区域」は、一般の人は基本的に建物は建てられないと思って差し支えありません。

問題なく建てられるのは

・農家をやっている方
・都市計画法施行以前(昭和46年以前)から宅地として住んでいた方

が中心。厳密にはもう少し詳しい規定がありますが、「田舎暮らしをしたいから」といった理由でサラリーマンの方や定年退職した方などが「市街化調整区域」の土地を買ったとしても、住宅を建てられる可能性は限りなく低いので注意が必要です。

建築できる場合でも、通常の確認申請に加えて別の申請が必要に

また「農家だから建物は建てられるよ!」という方についても、通常建物を建てるときに必要な「建築確認申請」という申請に加え、「60条証明」という申請が別途必要になってきます。

この「60条証明」。正確に言うと「都市計画法施行規則第60条の適合証明」という長い名前なのですが、確認申請を出す前に行政の担当部署に書類を提出し、「市街化調整区域」で建物をつくるのに問題ありませんよという「証明」をもらわなければいけません。

この「60条証明」の申請も、許可が出るまでに1週間から長いときには1か月程度かかることもあるため、工事の予定を決めるときも余裕を持った計画が必要になってきます。

「〇月には工事着工になると思ってたのに!」

などという事態にならないように、設計・施工業者さんとも打ち合わせを密に行っておいた方が良さそうです。

農家以外の人には、建てられる建物の大きさに制限も

また、農家以外の「昔から住んでいた方」が、古くなった住宅の建て替えや物置・車庫などの付属建物を新たにつくりたいと思った場合、その大きさに制限があるのでこちらも注意が必要です。

具体的には、

【住宅】建て替え前の建物の1.5倍かつ280㎡以内

【物置】30㎡以内

【車庫】45㎡以内

といった内容になっています。

特に気を付けなければいけないのは

「親が昔農家をやっていたけど今は引退しちゃって、息子の自分は会社員なんです」

といった場合。

農家の場合は建物の大きさに制限はなく、農業用の物置や車庫などが複数あったとしても何の問題もないため、広い敷地の中に建物がいくつも建っている・・・・ということがよくあります。

しかしこれが代替わりをして、上述したような農家ではない息子世代が建築主となる場合、建物の大きさに制限が出てきてしまいます。すると、思い描いていたような大きさの住宅ができなかったり、ときには敷地の中に複数建っている物置のうちいくつかを壊さなければ新たな工事ができない・・・・などといった事態も発生する可能性があります。

当てはまるかも・・・・という方は、ぜひ事前に確かめておくことをお勧めします。

 

家を建てようと思うと、どうしても建物本体の間取りや設備機器などについ目がいってしまいますが、その前に土地の状態や法的制限などを確かめておくことも大事な要素の1つです。

「理想の間取りを一所懸命考えたけど、いざ建てようと思ったら建てられなかった・・・・」

なんてことのないように専門家にしっかりチェックをしてもらいつつ、家づくりを進めていってくださいね。

※この記事は、2010年7月に書かれた内容をリライトしたものです。


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