建築業界紙「新建ハウジング」のメルマガに、こんな記事がありました。

さくら事務所、北海道地震の被災住宅を住宅診断士が無償で点検

これは、北海道胆振東部地震で被災した住宅を対象に、インスペクターと呼ばれる住宅診断士が、無償の簡易点検を実施するというもの。営業的な側面もあるのかもしれませんが、今後住まいをどうしていったらいいか迷っている方には朗報ですよね。

この専門家による再点検、東日本大震災時に応急危険度判定の仕事をした経験がある私から見ても、ぜひ受けてほしい大切なことだと思います。「応急危険度判定」は、あくまで応急的なもの。時間をかけてじっくりと見た結果ではないからです。

応急危険度判定イメージ

2011年3月。東日本大震災が発生したとき、私も町からの依頼を受け、町内の住宅の「応急危険度判定」を行いました。まだまだ大きな余震が続く危険と隣り合わせの中で、歩きながら数々の家を周っていたことを思い出します。

「応急危険度判定」というと、建物の状況を見て判断し、赤色の「危険」・黄色の「要注意」・緑色の「調査済」の紙を貼っていくものです。私も、建物の持ち主が見守る中で「危険」の紙を貼らなければいけない状況がいくつもありました。

ですが、ちょっと待ってください。

「応急危険度判定」は、あくまで「応急」的なものです。大地震直後の、危険が感じられる建物がいくつもある中、判定にもスピード感が求められます。そう、1つの建物をしっかりと見ている時間はないということです。

もちろん基準に基づいた判定方法で建物の状態をチェックし結果を出す訳で、「急いで見る」こと自体は全く問題のない行動ではあります。

実際私もそうでしたが

「もっと状態をじっくり見てアドバイスをしてあげたい」

「建物の持ち主に寄り添って、もっと話を聞いてあげたい」

と思っても、状況がそれを許さない。とてもジレンマを感じた部分でした。

 

そういった状況は東日本大震災に限らず、どの被災地でも同じような状況だろうと想像できます。液状化で傾いてしまった建物は、「危険」の赤紙を貼られるのは確かに分かります。ですが、「要注意」の黄色い紙はどうでしょう? どこが危険なのか。悪い部分を修繕すれば、まだまだ住み続けられるものなのか。短時間の調査では、なかなか判断の付かない部分です。

ですので、「応急危険度判定」で建物を見てもらったとしても、状況が落ち着いたらもう1度、建築士など専門家にしっかりチェックをしてもらうことをお勧めします。特に、修繕なのか建て替えなのか迷っているような方はぜひ。

大地震が必ず起きると言われている南海トラフに限らず、今の日本はいつどこで大きな地震が起きてもおかしくありません。そんなときに適切な対応ができるよう、この記事の内容を心のどこかに留めておいてもらえればと思います。

 


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